「でも、悲しいわ。」とどこか寂しげなパリサ姫。
「あなたの部下や、バラーニが死んで。彼のことは忘れないわ。」
やはりこの人、ジーニーが死んだと思ってる。
「バラーニ?」
「彼の望みは、あなたの船に乗ることだったのよ。」
すると、
「バラーニをお呼びですか?ここにいますよ。」
と突然、ジーニーが現れる。いや、もうバラーニか。
溶岩にランプを落として、名前を呼んだことにより、彼は人間に戻れたのだった。
「ジーニー!」
ジーニーとの再会を喜ぶシンドバッドとパリサ。
「もうジーニーではありません。この船のボーイです。」
「それでは、祝いの準備をしてくれ。」
「もうできています。ご自分でご覧になってください。」
二人が船室をのぞくと、そこにはサイクロプスの物だった宝の山が部屋いっぱいに積み込まれていた。
「二人の結婚式のために用意しました。」
「良くやったバラーニ。君は立派な船乗りになるだろう。」
「がんばります、船長。がんばります。」
といわけで、THE ENDと画面に出て、めでたしめでたし。
無気力ジーニーが、最後に見せた笑顔はなかなか良かった。心温まるエンディング。
ランプで呼び出された時のやる気のなさそうな「やってみます」と最後の笑顔の「がんばります」は英語ではともに I shall try です。同じ台詞を使うとは、なかなかしゃれたエンディングだ。
明らかにこれまでの作品よりも登場するクリーチャーの種類が多く、全編にわたってハリーハウゼンのアニメーションがバランスよく見られるようになったのは、超大作とまでは行かなくても、製作に十分な時間が取れたことが大きく影響したのでしょう。カラー作品はモノクロに比べて合成のつなぎ目が目立ちやすく、カラーで製作する事に危惧はあったようですが、シニアの支援で様々なテストを行った結果、満足のいく作品に仕上げることができたという。
ハリーハウゼンが合成作業に1年半も費やしたというこの映画は世界中で大ヒットし、ハリーハウゼンの名は世界的なものになりました。映画の出来映えからしても、これは当然の結果でしょう。『シンドバッド』はのちにシリーズ化され『シンドバッド・黄金の航海』(1973)と『シンドバッド・虎の目大冒険』(1977)が製作される。『シンドバッド7回目の航海』が1958年だから、三作で約20年間。シリーズにしてはずいぶん間が長い。
この映画の音楽はバーナード・ハーマンが担当。印象的な音楽で映画を盛り上げるのに一役買っています。バーナード・ハーマンは主に映画音楽で活躍した人で、アルフレッド・ヒッチコック監督作品の『めまい』や『北北西に進路を取れ』、
『ハリーの災難』、『 間違えられた男 』さらには『市民ケーン』、 SF映画『地球の静止する日』など数え上げたらきりがないほどたくさんの作品を手がけています。『シンバッド七回目の航海
』以降、ハリーハウゼン作品の多くを担当するようになりました。
個人的に一番印象に残ったのが魔術師のソクラ。次は何をやらかすのか、常に気が許せない存在。いかにも腹黒そうだが、どこか憎めないキャラだった。
しかし、ソクラの行動は意味不明のものが多い。ランプは元々自分の物だし、島に帰りたいのなら他に手段もあるはず。島に戻ってからもシンドバッドを裏切る必要は無かったのでは? 自分が飼ってるドラゴンもサイクロプスより強いし、どうして最初に追いかけられていたのか・・・
大事な場面で必ずランプを落とし、体力も無し。結局、最後は自ら考案した大弓で味方の竜を殺され、しかもその竜の下敷きになって死んでしまった。
妙に礼儀正しい魔術師の真の狙いとはいったい何だったのか・・・